保険で貯金の注意点③

こんにちは。

 

ファイナンシャルプランナーの土田です。

 

さて、保険で貯蓄の注意点その3です。

 

前回までは、

 

仮に、30歳の方が老後資金として65歳までに3,000万円貯めるとして、

 

金利0%とすると

3,000万円÷35年÷12カ月=71,429円

という事で、毎月毎月71429円をコツコツ貯める必要があります。

 

そこで生命保険を活用して用意しようとした場合に、

貯蓄と保障を兼ね備えた、「終身保険(低解約返戻金型)」で貯めた場合は

 

約69,000円を毎月掛金として支払う必要があります。(国内保険会社30歳男性で試算)

保険も金利が低いため、あまり大きな効果もなく、また途中で解約すると元本割れしてしまいます。

 

そこで外貨建て保険(ドル建て)を活用した場合で計算すると

毎月約49,000円で約3,000万円が貯まります。

 

これは元本の約1.5倍!

 

じゃあやはり保険で貯めた方が良いね!となりがちですが、そこで本題。

 

保険で貯蓄の注意点です。

 

その①

 

「保険の場合は35年間支払い前提の契約」という事です。

 

銀行に貯蓄する場合は、毎月振込みをして貯めていく形になりますが、

例えば、「今月は結婚式が重なったから余裕がないので」とか

「病気で臨時支出が掛かった」などの理由で貯蓄をお休みしても当然何のペナルティもありません。

 

しかし、保険の場合はそうは行きません。一カ月休めば翌月に2か月分の請求が来ます。2カ月払わなければ失効や契約者貸付(保険で貯まっている部分から建て替える)を利用するなど対応が必要です。つまり、休めません。

 

また、一時的な理由ならあとからボーナスで穴埋めできたりしますが、「転職」や「子供の教育費が思ったより掛かっている」など支払いが難しい状態が長期的に続く場合はどうでしょう。

 

保険の掛金が高いと言ってほとんどの方が減額や解約を検討、実行せざるを得ないでしょう。

※その場合、契約によっては元本割れしてしまう可能性が高いでしょう。

 

つまり、加入時に「満期までちゃんと支払えるのか?支払えない場合はどう対応するか?」を考えておかないと結局損をしてしまう事になります。

 

 

その②

 

「外貨建て保険には為替リスクがある」

 

外貨建て保険は米国ドル建てを中心に高金利だと人気です。

 

しかし、外国の通貨で運用するため、日本円に換算すると為替リスクが伴います。

 

例えば掛金。

 

先ほどの例でいえば、

1ドルが112.94円で計算した掛金です。

 

もし今後1ドル100円になれば約43400円の掛金になりますが、

1ドル130円になれば約56,300円になります。

 

という事は、加入時の支払いの計画にはこの為替リスクも織り込んで計算する必要があります。

為替は当然コントロールできませんから、ご自身がお金が掛かるときに円安になってしまえば大変ですね。

また、保険の営業マンで、

「為替が円安になっている場合は一部減額をしても利益が出る可能性が高いので大丈夫です」

「支払いがきつくなっても払い済み保険にすると大丈夫です」

などという方がいるようですが、本来の目的から考えるとこれも無責任です。

 

また、この為替リスクは満期金(貯まっているお金)にも及びます。

ドルで考えれば確かに1.5倍でも、円安で支払って受取時が円高であれば、円に換えると当然1.5倍にはなりません。

 

為替リスクがあるということをしっかりと考えて加入しなければいけませんね。

 

 

その③

 

「インフレリスクは外国の通貨にもある」

 

という事です。

 

よく「インフレリスクがあるので外貨建てしている」という方もいらっしゃるのですが、

外国にも「インフレ」は存在します。

 

また、米国ドルと日本円で考えると

米国の方がインフレ率は高いのが現状です。

米国のインフレ率は2%を超え3%に近付いている(2018/7現在)

のに対し、日本のインフレ率は1%にも届いていません(2018/6データ)

 

単純にこの一面だけで考えると、米国ドルは日本円より約三倍価値が下がっている事になります。

※もちろんそんな単純なものではありませんが分かりやすくするため大袈裟に言えばという事です。

 

ですので、「米国ドルだからインフレに強い」は間違いです。

 

 

その④

「最終的に大事なのは購買力」

 

アメリカの資産運用には「ゴールベース」という考え方があります。

 

老後資金を貯める際に例えば今回みたいに3,000万円を65歳まで!という事ではなく。

インフレなども計算して、35年後に今の価値で3,000万円の物を買う力(購買力)を持つ

という考え方です。

 

長期でみれば物価が上がりお金の「物を買う力」は減っていくので、それを前提にして考えようということです。

 

例えば2%のインフレが35年続いた場合、今の3,000万円分の物を買う力を得るには、約倍の6,000万円が必要です。

 

ですから貯金で貯めようが、保険で貯めようが、インフレ2%が35年続いたら、3,000万円貯めたところで今の価値に直すと、1,500万円程度の物しか買えないのです。

 

なので、生命保険の様な固定金利系の商品では将来の購買力も検討しておく必要があります。

一生懸命支払ったのに、お金の価値(購買力)は半分になったでは笑えませんので…

※尚ここでは単純に「購買力=お金が物を買う力」として表現しています。

 

という事で、今回は保険で貯蓄の注意点を4点挙げましたが、いかがでしょうか?

 

保険が良いとか悪いとかではなく、ライフプランに合っているかどうかが大切です。

 

とはいえ高額な保険料を払っている方は要注意!

そんな保険を提案されている方、またはもう加入してしまったという方は

傷を負う前に(浅い内に)ぜひ一度ご相談下さい。

 

今日もありがとうございました。

 

 

土田

 

あきたで出産・子育てガイドブックに取材記事が掲載されました。

クルール秋田版(4月号)に記事が掲載されました。

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