保険会社の50年債運用でリスクを負担するのは誰!?

こんにちは。

ファイナンシャルプランナーの土田です。

 

さて、アメリカの中央銀行(FRB)のパウエル議長が利下げに転じる可能性を匂わせたことから、米国S&P500種株価指数が一時史上最高値を更新しました。

 

日経新聞朝刊

金利低下 世界に連鎖 米10年債2%割れ 欧州もマイナス カネ余り

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190621&ng=DGKKZO46357000Q9A620C1EA2000

 

記事にあるように、世界景気の後退リスクがある中で、6月に豪州やインドが利下げをし、来月にはアメリカも利下げをする可能性が高くなりました。

 

利下げにより「債券価格」も上昇するでしょうから、経済が伸び悩む中での、株高と債券高という「資産バブル」の様相を呈してきそうです。

 

資産運用においては、当然こういったことも意識しながらの判断を求められる局面になりますね。

 

また、日銀の黒田総裁も2%物価目標に向けて更なる金融緩和も躊躇しないという事を発言されています。

日経新聞朝刊

日銀総裁会見の要旨

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46375070Q9A620C1EE8000/

 

インフレ2%の達成に向けて、更なるETFの買い入れや国債買い入れを行うということですから、日銀の上場企業の株保有比率や国債保有残高も増えていくでしょう。

 

 

こういった、日本や世界の情勢から見て「!?」と思う記事もありました。

 

(真相深層)「人生100年」超長期債で備え 国内初50年債、買い手はソニー生命 働き盛りの顧客多く 日経新聞朝刊

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190621&ng=DGKKZO45949340R10C19A6EA1000

 

以下引用

社債市場で満期までの期間が50年にのぼる50年物社債の発行が本格化してきた。三菱地所が4月に国内初の50年物社債を発行し、JR東日本も発行を計画する。半世紀にわたるリスクをとって三菱地所の社債を買ったのは誰なのか。買い手として名前が挙がったのは、とある生命保険会社だった。人生100年時代に備えて保険に加入する30~40歳代の働き盛り世代が巡り巡って企業の超長期にわたる資金調達を支えている。

引用終わり

 

記事によると、三菱地所が50年物社債を発行しその他の企業も追随する動きを見せているとのことです。

 

債券は発行企業に投資家がお金を貸す「借用証書」のようなものです。

投資家はお金を貸すと、約束された金利を受け取り、満期になると元金が戻ります。

金利も満期も決まっているので、株などと比べてローリスクな運用方法と言えます。

 

リスクとしては、発行体が倒産してしまうなどの「信用リスク」や「価格変動リスク」などとともに、「インフレ(物価上昇)リスク」があります。

 

約束した金利を支払うのですが、通常「固定金利」なので、インフレになっても金利は増えません。

 

そのため、金利を上回るインフレになれば、得られる金利ではインフレに対応できません。

また、満期金も投資元金が戻るだけなので、当然インフレになれば「元金は減ってないがお金の価値は減っている」状態になります。

 

ですから50年の債券などは「リスクが高い」ので通常売れないのですが、買っている投資家がいるんですね。

 

それが、生命保険会社です。

 

記事ではソニー生命の名前出ています。

生命保険会社では保険契約者からの掛金を運用して利益を上げています。

運用先は主に債券で安定的な運用をしてるのですが、最近の低金利で運用益も上がりにくいため、保険商品の利回りも低下しています。(それで外国債券で運用する外貨建て保険が主流になっていますね)

 

記事では、30代40代の若い方が顧客に多いソニー生命では、将来のリスクに備え「終身保険」などに加入した場合に70年位の超長期の債務を負うので50年債の購入ニーズがあるとしています。

 

しかし、これ裏を返すと一部「リスク」の引き受け手が「契約者」になっていることに気付きます。

 

50年後に元金が戻るとした時に、

その会社が倒産しないかの「信用リスク」

価格が変動する「価格変動リスク」(途中で売ると損失が出るリスクです)

物価上昇に伴う「インフレリスク」

 

の3つで考えると、

 

「信用リスク」は確かに保険会社負担です。三菱地所が倒産して債券が元本割れしても契約者は約束通りの保険契約が保全されます。(ソニー生命の倒産などなければ)

「価格変動リスク」はこの場合、途中で売却する必要性が低いため、リスクがないと言っても良いでしょう。(どんなに値下がっても満期まで持てばいいので)

 

 

しかし、「インフレリスク」はどうでしょうか?

 

 

30代の方が、一生涯の保障として終身保険に加入し、実際に亡くなる可能性が高い50年後以降まで、仮に2%のインフレが続いた場合、30年でお金の価値は半分になりますから50年では推して知るべしですね(汗)

しかし、保険会社は契約した金額を払うだけですから「インフレリスク」は取らなくても良いことになります。(あくまでもこの契約においては)

 

つまり、将来の生活費や葬式代と思って若い内に備えていたものが、いざ使おうという段で、お金の価値として半分以下になってしまう可能性があるということです。

 

もちろんインフレになるかどうかは分かりません。

ただ、少なくとも経済学的にみても経済発展のために適正なインフレが必要ですし、そのため世界中がインフレ率を2%程度にする目標を立てており、日本でも政府・日銀は2%インフレを目指して政策をしています。

 

ですので、若い方は特に「終身保険」や「個人年金保険」で資産形成をする場合にはそういった「インフレリスク」を引き受けているという認識を持つべきと思いますし、FPとしては若い方には保険での資産運用はお勧めできません。※どうしても保険でという場合は変額保険という商品もありますが、その場合でも、積立投信との比較をして選択してもらうことが多いですね。

 

保険会社としては経営判断として非常に正しいやり方と思いますが、それが必ずしも「契約者」のためにはならないということを知っておく必要があります。こういったことも含めて「金融リテラシー」を高める必要がありますね。

 

そんな難しいことまで考えて保険選択できない!という方はぜひ公正であなたの側に立ったアドバイスをしてくれるアドバイザーに相談すると良いですよ!

 

もちろん当事務所でもご相談できます。

 

お問合せはこちらからどうぞ。

 

今日もありがとうございました。

 

 

クルール秋田版(4月号)に記事が掲載されました。

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