制度改正しても活用において大事なことは…

こんにちは。

ファイナンシャルプランナーの土田です。

 

昨年の税制大綱では、ライフプランに大きく関わる改正が多くありました。

NISAの拡充と恒久化により、「貯蓄から投資へ」の更なる推進を図る改正が金融業界では一番の話題でしたが、相続対策においても大きな改正がありました。

 

日経新聞Web版「相続節税に新手段「精算課税」で年110万円の非課税枠」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOMH062QG0W3A100C2000000/

以下記事中一部引用

今回の改正では相続時精算課税でも年110万円の基礎控除を設け、110万円以下の贈与なら申告不要とする。241月からの贈与が対象だ。さらに注目されるのは「基礎控除分の贈与財産は被相続人が亡くなっても相続財産に加算しない」(財務省主税局)こと。税理士の藤曲武美氏は「精算課税で基礎控除を使えば新たな相続税対策が可能になる」と話す。

暦年贈与も改正がある。現在は相続開始前3年間に受け取った財産を相続財産に加算する仕組みで、31年の相続からこの期間を7年に拡大する。加算する金額のうち47年前の合計から100万円を差し引くが、「相続節税の余地は狭まる」と辻・本郷税理士法人の浅野恵理税理士は話す。

相続時精算課税と暦年贈与で相続税の負担はどう変わるのか。母に2200万円の自宅と預金2000万円があり、相続人は別居で持ち家のある子1人という例でみよう。相続時精算課税を選び、まず特別控除で子に自宅を贈与する。預金は基礎控除で年110万円ずつ24年から母が亡くなるまでの10年間贈与すると、1100万円を渡すことができる。相続財産は残りの預金900万円と自宅2200万円を加算した計3100万円。相続税の非課税枠3600万円を下回り、課税されずに済む。

これに対し、自宅を生前贈与せず、預金に暦年贈与を使うと相続財産は3770万円で課税対象になる。自宅2200万円、預金900万円のほか、相続開始前7年以内の贈与770万円から47年前の100万円を引いた670万円が加算されるためだ。

引用終わり

 

現行の制度では、相続時精算課税を選択すると、2500万円を上回る贈与は一律20%課税され、相続時には贈与された金額を含めて相続税を計算し、既に支払った税金を相殺する形になっていました。

一般的に、相続税の基礎控除内の資産の方であれば、この制度を活用して一気に贈与ができる反面、相続税が掛かる方に取っては、一度選択すると暦年課税(110万円/年は非課税)に戻れないので、慎重に活用する必要があるものでした。

 

今回の改正で、相続時精算課税を活用しても年110万円は非課税で贈与でき、且つ、その110万円贈与分は相続税の課税財産にもならないのであれば、相続税が掛かる人も掛からない人にとってもより活用しやすい制度になったと言えますね。

 

しかし、この制度の活用には慎重になる必要があります。

 

記事中にもありますが、相続時精算課税で自宅を贈与した場合には小規模宅地等の特例(課税評価額を大きく減少させられます)が使えませんし、相続時精算課税は贈与時の評価で相続時に課税評価されますから、価値の下がるようなものには使わないのが原則です。また、寿命もあるので計算が難しいところになりますが、暦年贈与を活用した方が税制上は有利ということも多々あるでしょう。

 

つまりはケースバイケースになります。

 

実際この相続時精算課税制度を使ってはいけない使い方をしてしまっている相談者が数名いらっしゃいましたが、何れも自分で決めたわけではなく、税理士やFP資格を持っている保険屋さんから勧められていました。一度選択すると暦年課税には戻れない制度なので、そのためにその後の対策で非常に苦労しています。

 

また、遺言書も最近は書く方が増加しているので、これは望ましい事ではあるのですが、遺言があったせいで揉めるケースも多々あります。折角、自身が死んだ後でも家族が揉めない様にと書き遺した遺言でも、書き方や財産やご家族状況など全体を見ての内容にしないと揉める原因になります。遺言書も、公証役場で公証人に書いてもらった「公正証書遺言」であれば安心とか思われがちですが、実際には公正証書遺言でも内容や書き方で揉め事の原因になってしまうことがあります。法律家だから安心ではなく、家族状況や資産状況をしっかりと確認して、揉め事になりそうなリスクを排除できるアドバイスをくれる方かどうかを判断する必要がありますね。

 

NISAでも相続時精算課税でも遺言でも、制度はあくまでも「道具」であり、「目的」に対してどの道具をどの様に活用したら有効なのかを判断して活用する必要があります。

 

つまり大事なことは、「目的」をはっきりさせることです。

 

そんなの難しくて判断できない!そんな勉強する時間もない!という方はプロのアドバイスを受けられることをお勧め致します。

 

当事務所では、ライフプランや資産運用は勿論、相続・事業承継も得意(FPの分野ですので当然ではありますが…)としておりますので、ぜひご相談下さい。

 

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今日もありがとうございました。

 



 

 

 

あきたで出産・子育てガイドブックに取材記事が掲載されました。

クルール秋田版(4月号)に記事が掲載されました。

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